4月はいろんな新しいことがスタートする月。寒かった冬が終わり、薄緑の新芽が日に日に寂しげだった木々に色をつけ、いろんな花が咲き始め自然も新しいスタートをしているかのようです。
人間と動物の違いは、人間には向上心がある点と言われます。動物に向上心がないとは私は思いませんが、人間は確かに同じ状態でいることにあまり満足しない、何か良くなってもまたさらにより良い状態にしようとしたり、研究などもとどまることはありません、さらに深く、上を目指すのが人間の生まれ持つ習性でしょう。
だからなのか、新しい発見やチャレンジ、何か上達できることに大いなる達成感を感じますよね。そしてそれが自分が成長したと感じられる時でもある気がします。
実はわたしの知り合いで世界中を自転車で旅しながらフリーコーヒーをあちこちで振舞うという活動をしている人がいます。日本でも全て基本無料、コーヒーを飲んだ人、送ってもらった人が自分が感じた価値のぶんだけお礼を送る、というシステム。それはお金じゃなくてもいいし、何か彼に役に立つもの、喜ぶものでもいい。喜んでくれるものを考えるという行為、またお互いがその人のことを思って何かをするということに意義を感じているのではないかと思います。
( https://www.earthride.jp )
うまく説明できないけど、どうやって生活が成り立つんだろうと不思議に思いながらもそんな風に生きることができたらなんて素敵だろうって夢を見させてもらう気持ちです。彼は年に数回子供を連れて自転車の旅をしています。毎回毎回それはそれぞれの子供にとって絶対に一生忘れられない、また大きく成長する経験になってるのは間違い無いです。やったことのないキャンプ、旅したことのない距離、あったこともなかった仲間と協力し合い、とにかく予想もしてないようなトラブル続出、そんな中、彼は子供達を叱るでもなく教えるでもなく、彼らが自分でできる限り考え判断し実行に移そうとすることを危険なことがないようにだけしっかり見ながらそっとサポートする形で寄り添っていきます。
そのレポートは実はテレビドラマや映画を見るより面白いし、ドキドキして、時には込み上げるものが止まらなくなる時もあります。なぜならとってもリアルでみんな真剣でオブラートに包まれていないハートのぶつかり合いだから。子供の頃にこんな初めてだらけの挑戦ができるなんて本当に彼らはラッキーだなあと思います。大人になるとここまで真剣に未知の世界に突入することってあまりなくなるから、ちょっと羨ましい。
大人になっても初めての経験はたくさんあります。人生なんて予想もしないことだらけ。でもどちらかというと辛いことや困ったことばかりの気がします。でも楽しい初めてを経験する時の緊張と興奮と恐怖、そしてそれができた時の達成感、喜びって何よりも人生を豊かにしてくれると思います。大きなことに手をつける必要はないんです。子供の頃は初めて電車に乗ること、おでかけ、入学式、全てが初めてで毎日がドキドキワクワクの連続だったはずです。
写真2: この波の向こうに何があるのか、沖に進んでいくときはいつもドキドキする。去年からチャレンジしておる新しいスポーツ、ウイングフォイル。
例えばサーフィンに夢中になってるひと、サーフィンの気持ちはそのまま、でも初めてのものをトライするにはどんなことがあるでしょう?この夏は波が悪い時はボディーサーフィンを始めてみる、あるいは潜りを覚えて海面の上だけでなく、海の中の世界を知る。SUPで岸辺だけでなく沖の景色や隣の湾まで遠出してみる。サーフィンの上達のためにスイミングレッスンに通ってみる、あるいは呼吸法を学ぶ。自己流でやってきた人はサーフレッスンをプロから受けてみる(どんなに上手な人でも発見があり、びっくりするはずです)いつも行く場所ではないところ、前から行って見たいと思っていた場所に行ってみる。いつもの海で全く違うタイプのボードで乗ってみる。こんなに同じサーフィンでも初めてのドキドキワクワクは存在します。
マーシャル諸島。
最近人気のSUPは波がなくてもできるしサーフィンよりとっつきやすい、水上散歩のようだし、コアが鍛えられてフィットネス効果も絶大。穏やかな海ならおやつと飲み物を持って沖の無人島や海からしかアクセスできない浜辺に上陸して探検気分を楽しんだり、安全に気楽に漕ぐだけでなく、ちょっと漕いだことのない距離を漕いでみたり、息が切れるほど真剣に漕いで見るのもいいと思います。ただ漕ぐ練習と思うと辛いだけだけどこの先に何があるんだろうとか、あそこまで行ったらみんなでご飯を食べようとか、何かお楽しみがあると時間も忘れて夢中になれたりします。自分がよく知ってると思っていた場所でも見方や使う道具を変えるとまた新鮮な新しい景色が見えてくることもあります(ただしSUPが気軽にできるがゆえに初心者だと天候の急な変化やコンディションの判断ができずに事故に繋がることもありますのでビギナーの方はインストラクターやガイドの人についてもらって楽しむことをお勧めします)
西表島のマングローブ・サガリバナの季節はアバターの世界。
例えば日常的なことでも初めてを経験するだけでちょっとリフレッシュすると思います。初めて海の上で飲むお茶、ベランダで育てたトマトの初収穫。エクササイズ用のウエアに普段選ばないような色やデザインをあえて選ぶとか。大人になると失敗をするのが嫌で新しいことに挑戦したりすることが減ってくるように思いますが失敗こそ新しい発見、そして成長の始まり。失敗を恐れずにそこから生まれる初めての感覚を楽しむ!それが私のこの春の課題です。
人間はこの水平線の向こうに何があるんだろうとそれが知りたくて大海に漕ぎ出でて新大陸を発見したわけですが、私も水平線の向こうに何があるのか、なんども失敗しながら無様な格好を晒しながらも色んな初めてを経験し、結局はその最初のビギナーの時期が一番楽しい時期でもあるということに気づきました。なぜって始めた頃って難しいし、苦労するけど毎回発見やステップアップがあってワクワクしっぱなしなんですもの。
シンプルな豊かさを感じるには最高の場所、バハ、メキシコ。
新しいスポーツに挑戦するのはかなり大きなステップ、ですが、BEACHTOWNのアウトドアフィトネスクラブはそのハードルを低くして多くの人に外に出てもらい、アウトドアと健康を生活の一部にして欲しいと色々考えてます。新しく始めるにもどこからはじめていいのかわからないことは多いだろうけれど信頼できる施設で始めればすんなりスタートできるはず、そして4月から始まった「アウトドアフィットネスツアー https://outdoorfitness.jp 」のガイドプログラムはまさに新しいスポーツに挑戦するためにあるようなもの。
宣伝みたいになってしまったけれど、実はこのエッセイを書きはじめていた時にはこのガイドプログラムがスタートすることは知らなかったんです。まさにタイムリー、そしてインストラクターもその道のリーダーばかり。私は外で遊ぶことにはかなり長けている方だと思いますが、それでも走ることは全然ダメだし、クライミングももっとやりたいとは思ってもなかなかチャンスがありません。普段は外で楽しむ方法、海で遊ぶ方法を人に教えている立場でも自分にとって未知のスポーツを他の人の教えてもらうことはとっても新鮮で学ぶことも多く、まためっちゃ楽しい経験なので、是非私もこのプログラム利用したいなあと思ってます。
暖かくなって外に出たい気持ちもむくむくと溢れてくる今こそ、自分の今見えている水平線の向こう側に何があるのか、新しいこと、未知の世界にチャレンジする春にしてみませんか?(Tomoko)
岡崎友子 Tomoko Okazaki プロフィール
オーシャンアスリート&ジャーナリスト。鎌倉、由比ヶ浜で生まれ育つ、女性のプロ・ウィンドサーファーの先駆けで、プロ・カイトボーダー、バックカントリー・スノーボーダーでもある。16歳でウィンドサーフィンを始め、20代でマウイ島に移住。1991年のウェイブライディングで世界ランク2位を記録。ウインドサーフィンの他にもスノーボード、カイトサーフィン、SUP、フォイルなども初期の頃からパイオニアとして世界の情報を日本に紹介している。 スノーボードではアラスカやそのほか多くの大きな山を滑る初の日本女性スノーボーダーとなり、場所や道具が変わっても、いい波や風、雪を求めて旅を続けるスタイルは変わらず。旅や出会った人たちから受けるインスピレーションをテーマにフリーランスのライターとしても活動中。パタゴニアのアンバサダーとしても活躍し、ジェリー・ロペスの著書『SURF IS WHERE YOU FIND IT』の翻訳も手がけた。現在もマウイをベースに風と波を追いかけながら旅を続け、インスピレーションをもらった人たちや場所、出来事について記事を投稿したり、ツアーやイベントで自然と向き合える経験をシェアする活動を続けている。自分が恩恵を受け続け常に多くを学んできた自然を大事にしていかなければという危機感から、近年はキッズキャンプや環境活動に力を入れている。
株式会社BEACHTOWN アウトドアフィットネス エンパサイザー(共感者)